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壁の補強と外部周り

大原三千院民家再生事業
ラスカットを使用した下地
大原三千院民家再生事業
耐力補強された壁

骨組みと合わせて壁の仕舞を検討しました。

耐力壁のない建物ですが、いくら再生といっても筋違も何もないというのはさすがに抵抗があり、耐力壁の取れるところは筋違を入れることで一致しました。しかし、それだけでは壁量を満たしておらず、また、外壁の仕上がりも再生の目的から真壁にすることになり、ここで又、壁量の問題で行き詰まります。結局、真壁にする下地にラスカットを使用して、合板の壁倍率を見込むことにしました。

また、オリジナルのゼロ工法の応用で垂れ壁(窓上の壁)と腰壁(窓下の壁)も耐力壁の一部に見込んで、筋違と合板を併用して耐力壁を取れる限りに配置しました。後は、モルタル下地に漆喰仕上げ(たぶん白色)として、木部周り(化粧柱、梁、化粧垂木、広小舞、破風板など)は弁柄塗りにすれば外部周りは一通り完了します。

ここで、弁柄について触れてみます。
紅柄とも書きますが、「べんがら」と読みます。今のように塗料の技術や色などが発達していないその昔、その土地などで自然に産出されたものが塗料として広く使われておりました。赤い着色料として、また、今のように科学的な根拠が解らない中でも耐食性があることがしられていたのでしょう。成分は酸化鉄(Fe2O3)で、いわゆる鉄錆の赤色です。昔はこのような自然のものを大いに活用していたのです。

皮肉にも現在の塗料などは有機溶剤を使用しており、その毒性でシックハウス症候群など昔はなかった病気を作り上げているようなものです。今でこそエコロジーと叫ばれ自然の素材がもてはやされておりますが、昔は当たり前の素材を使い、普通の施工をしてエコロジーを貫いていたのです。

また、「べんがら」の名称の由来は、16世紀ごろインドの西ベンガル州産のものが渡来して使用されたからと云われています。ちなみに現在、弁柄の材料である酸化鉄(硫化鉄などから生成)は磁気テープ、磁気カードやフロッピーディスクなどに利用されているそうです。

ラスカット

ラス板の代わりに使用される、構造用合板にポリマーモルタルを塗りつけたモルタル下地材。

  • 施工実例 大原三千院民家再生
  • 木造建築の可能性 2001.1月 完成

    大原三千院民家再生

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