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屋根工事

【10月5日(水)大屋根の雨漏り】

大原三千院民家再生事業
大屋根から雨漏りが

「北東の大屋根から雨が漏っていますよ。」

初めて聞く情報でした。
今回この建物を再生するために様々な場所をチェックしたのですが、古い建物ながら大屋根だけはしっかりしていそうなので、その為改修コストも幾分安く済むのではないかと安心していたのです。

もし大屋根から雨が漏っているのであれば、一度瓦をめくり、瓦下の土を取り替える必要があります。これが一部で済めば良いのですが、屋根補修が全部にかかってくると、これは少し大事になるかもしれません。以前二階の天井板を捲って屋根裏を覗いたとき、隅々までは見えなかったけれど、屋根裏は乾いた様子で雨漏りがあったとは思えませんでした。これもいずれはしっかり調査をする必要があります。

ここまで来ただけで思うのですが、民家の再生というのは思わぬ所で費用が嵩み、予算が大きくはみ出る可能性があります。

今回は当社の事業と言うことで、少々予算がはみ出ても大きな問題はありませんが、もしお施主さんがいて予算が限られてのことならば、これは大変な問題になると思われます。

当初民家再生には出来る限り新材は使いたくなかったのですが、思うように古材が手に入らず、柱や敷き桁の差し替え材には新材を使うことになりました。その新材がすでに建物の土間の上に積み上げられています。

いつもは檜の新鮮な香りのする新材は大好きな匂いなのですが、この現場で見る真新しい材木は疎ましく見えました。

【11月初旬~12月 屋根工事】

大原三千院民家再生事業
屋根の上に松の木が…!!

「屋根の上に松の木が生えています。雨が降ると、この辺りから雨漏りがします」

という報告が工事の担当からあったのは、昨年11月初旬頃でした。

この民家を全面改修するのに、当時予算をはじいて2500万円位かと考えていました。それで収められるなら工事着手しても良いのではないか。

いくら20周年記念事業であっても、改修費が新築費用より高くなるのであれば、これは建て替えをした方が良いわけです。

現状の建物規模はざっと見積もって約100坪位。
工夫をすることにより6000万円もあれば建て替えができます。

雨漏りといっても屋根全部を葺き替えることは希で、ほとんどはひび割れた瓦数枚を替えるかどうかで雨漏りがおさまるのです。ですから、大工から受けた報告でも、1~2枚瓦を替えるだけで事たるだろうと安易な気持ちでいました。また、その時2階まで上がり、天井裏を見渡したのですが、目視できる限り屋根裏内部は乾燥していて、雨漏り後の様子はなかったのです。

一部雨に濡れた形跡があるところも屋根の端っこで、屋根全体を葺き替えるということは考えもしていませんでした。ですから、はじめて聞く話ではなかったけれど、気分としては晴天の霹靂だったのです。

古い建物を再生することに意義はありますが、この建物は明治年間に建築された民家で、あえて新築費用ほどの資金を投入して再生する建物ではなかったのです。ですから、工事関係者と相談して、その責任者から「なんとかなるでしょう」という判断が出たので、それならということで民家再生事業を会社に納得させたのです。

そのため、屋根に松の木が生え雨が漏るというのは青天の霹靂で、ただでさえ予算が増加傾向なのに、また想定外の費用が増加することに頭を悩ませました。

「松の木が生えているところだけを、部分的に補修するということはできないのですか」。

現場監督は首を横に振り、

「屋根瓦全体が傷んでいますから」という説明を返しました。それなら、この建物を改修しようというとき、「屋根瓦はなんとか持ちそうです」と言ったのは一体誰だったのか。責任者の追求をする気持ちはないけれど、また予算が500万円位かかりそうで暗澹とした気分になりました。

工事はすでに腐食した軸組を全て入れ替え、次は壁を作る工程に入る時期でした。すでに予算は1000万円以上つぎ込み、引くことができない状態です。「なんとか一部だけ補修してコストを低く収めることはできないのか」。そういうと、担当は申し訳なさそうに屋根の状況を説明しはじめました。要するに、今葺き替えをしないと、5年後、6年後に新たに雨漏りの問題が残るということで、私は泣く泣く屋根の全面葺き替えに同意させられたのです。

屋根の上に松の木が生えることは本当に珍しい出来事です。

これも、この建物を10年以上も放置していたせいだと思うのですが、瓦に亀裂が入り、その下の土に松の種が付着して、松の幼木が育ったのだろうと推察されます。あまりに珍しい現象でしたので、工務のものに命じ、生えている状況を写真に撮らせようとしました。しかし、残念なことに松の木は屋根から抜き取られた後でした。しかし、その松の木だけは残しているというので、木だけでも写真に撮らせることにしました。

【1月25日(木)屋根工事】

大原三千院民家再生事業
葺き替えの様子
大原三千院民家再生事業
葺き替えられた屋根

11月、12月は本業の方が忙しく、私は三千院の現場に何度も足を運ぶことはできませんでした。しかし、休みの水曜日を利用して現場の進行状況は見続けてきました。

屋根工事は12月初旬頃から始まり、現在大屋根は全て葺き終え、今は庇の屋根瓦を葺いている状態です。今も瓦工事の職人さんが現場で土捏ねから瓦を葺く作業まで忙しく立ち働いています。

私は瓦職人の工事を眺めていて、これらの作業にも実に繊細な技巧の積み重ねがあったものだとつくづく感心することがありました。
我が社は建売を主たる事業として行っているのですが、京都という地域でありながら、最近日本瓦を使うということがほとんどありません。特に、瓦を葺くのに捏ねた土を挟んで、その上に瓦をのせていくという作業は、木造建築の現場でも珍しい工事になりつつあります。現在、屋根材として使用されているのはカラーベストが最も多く、他の屋根材もほとんどが釘止めになりつつあります。

最近、業務で町家を扱うことが都度あり、木や畳の匂いがする上質な町家も住むのに良いかなと思い始めています。また、伝統的な日本瓦も、工事の過程を見ていると、フォームとしての美しさと懐かしさで心惹かれるものがあります

  • 施工実例 大原三千院民家再生
  • 木造建築の可能性 2001.1月 完成

    大原三千院民家再生

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