連担建築物設計制度「紫野郷ノ上町」袋路再開発

京都市内に数千箇所あるとされる袋路(路地)での再建築に際して、全国を基準にして定められた建築基準法では、最適合ができないと考えられます。その袋路を含めた市街地環境の再整備を目的とする法律として、平成11年の建築基準法改正により「連担建築物設計制度(※)」が定められました。

この制度の設立にあたり、当社は「都市居住推進研究会(都住研)」を通じて制度の前提となる政策提言を行い、法律改正を促進。同制度を運用するための袋路用地を提供し、日本で初めて「連担建築物設計制度0(ゼロ)号」となる、紫野郷ノ上町の街並みを誕生させました。その後も当社は同制度を適用した袋路の開発に取り組み、京都らしい街並みを実現しています。

紫野郷ノ上町 袋路再開発<解説>

従前の7軒の住宅は前面道路の幅が4M以下である非道路(通路)に面しており、従来の法規制では建て替え前よりも小さい建物しか建築できなかった。そこで、袋路全体で建ぺい率・容積率を満たし、各戸の住民たちが壁面線や通路幅員などの建築協定を結ぶことで、「協調建て替え」を可能とし、安全かつ快適な住環境を実現した。

紫野郷ノ上町 袋路再開発<解説>

<モデル地域図面>
7軒の住宅が存在
(うち5軒が取り壊し済み、2軒の住宅が存在)

※計画時

紫野郷ノ上町 袋路再開発<解説> 紫野郷ノ上町 袋路再開発<解説>
紫野郷ノ上町 袋路再開発<解説>

制度非適応(個別建て替え)

  • ■通路の中心より2m後退し、個々の敷地での建ぺい率、容積率を満たさなくてはならない
  • ■2階建ての住宅になる
     →不十分で限定された規模の建物になる
紫野郷ノ上町 袋路再開発<解説>

制度非適応(個別建て替え)

  • ■通路の中心より2m後退し、個々の敷地での建ぺい率、容積率を満たさなくてはならない
  • ■2階建ての住宅になる
     →不十分で限定された規模の建物になる
紫野郷ノ上町 袋路再開発<解説>
  • ■敷地中央付近に広場を設ける
     →道路中心線からのセットバック(道路境界線の後退)に対し柔軟な対応を行うことにより、敷地の有効利用
     →火災時の一時避難所になり、スムーズな避難計画が可能
  • ■一定の防火性能を満たせば、行き止まりの袋路での3階建てが可能
  • ■道路部分を含めた計画地全体における建ぺい率、容積率を満たせば良い
  • ■個別による建て替えが可能(これまでの共同建て替えでは、一斉に建て替えねばならなかった)

連担建築物設計制度とは

連担建築物設計制度とは、「都市の再整備に当たり、狭小な敷地が多く、道路等の基盤が必ずしも十分に整っていない既成市街地においては、敷地ごとの規制のみでは、市街地環境を確保しつつ、土地の有効利用を図ることが困難」という認識を背景に、「土地の集約的利用による合理的な建築計画を可能にし、土地の有効利用に資するため、隣接する既存建築物との設計調整のもと、それを含んだ複数建築物について一体的に規制を適用する」ことを要点として、平成11年の建築基準法改正により、新たに導入された制度で、建築基準法第86条第2項が根拠条文となります。

この制度を適用することで、袋路およびそれに面する複数の敷地がひとつとみなされ「協調建て替え」ができるようになっています。「協調建て替え」とは袋路全体で居住空間の改善や街づくりの推進を計画し、それぞれの建物が時期を合わせることなく個別に建て替えることができる方法です。

国では、この制度を主に一般市街地における土地の有効利用(容積移転等)のために用いることを想定していますが、京都市などの密集市街地においては、袋路再生を支える制度としての積極的な活用が望まれています。

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